腰椎分離症外来
成長期腰椎分離症(腰椎疲労骨折)は、スポーツをしている子どもに多くみられる腰の骨の疲労骨折です。中学生・高校生に多いものの、小学生から大学生まで幅広い年代に発症が見られます。
疲労骨折のサインと診断の重要性
多くは、腰を「反る」「捻る」といった動きで痛みが出現します。1週間以上腰痛が続く場合には、疲労骨折が疑われます。この段階で早期受診することが、治療の成否を大きく左右します。
当院では、疲労骨折の最も早期の段階でも診断可能なMRI検査を迅速に実施可能です。MRIでは、骨折線がまだ見えない段階でも骨への負荷反応(高信号変化)を捉えることができるため、非常に有効です。骨折が疑われた場合、次にCT検査で骨のひびの程度や進行度を評価します。これにより、より正確なステージ分類(超初期・初期・進行期・終末期)が可能になります。
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MRI(左図矢印)にて骨折の有無を診断し、CT(右図矢印)にて骨折の程度を確認する |
このような画像診断を迅速に行える体制を整えていることが、早期発見・早期治療を実現する当院の強みです。
当院の骨癒合率と治療期間に関する最新研究結果
2024年に当院から発表した、成長期腰椎分離症590例を対象にした大規模研究において、保存療法による骨癒合率を世界で初めて両側の病期ごとに分類し明らかにしました。この研究では、骨折の進行度が進むほど骨癒合率が低下し、治療期間が長期化することが明らかとなりました。
対側\主病側 | 超初期 | 初期 | 進行期 | 合計 |
---|---|---|---|---|
なし | 98.2% | 96.0% | 64.3% | 92.7% |
超初期 | 100% | 94.1% | 66.7% | 93.0% |
初期 | – | 82.9% | 32.3% | 68.2% |
進行期 | – | – | 23.7% | 23.7% |
終末期 | 0% | 50.0% | 11.1% | 27.8% |
合計 | 97.3% | 92.3% | 40.5% | 81.9% |
また、両側性の病変や終末期病変では骨癒合率が大幅に低下するため、早期診断と適切な治療開始の重要性がより強調されます。
当院の治療方針
保存療法の基本は以下の3点です。
- スポーツの休止
- 硬性コルセットによる固定
- リハビリによる身体機能改善
ただし、骨癒合が見込めない高度進行例や、どうしても大会に間に合わせたいという要望がある場合には、骨癒合を目指さずに競技を継続する選択肢も、患者様やご家族と相談の上で柔軟に対応します。
骨折が残っていても痛みがなければ競技に復帰できる例は多く、実際にプロスポーツ選手でも骨癒合していないまま活躍している例は珍しくありません。
リハビリの重要性と再発予防
当院ではリハビリも重視しており、特に以下のような身体的問題に着目しています。
- 柔軟性の低下(上、下半身)
- 姿勢やフォームの癖
- 体幹の弱さ
これらを改善することが、再発予防と長期的な競技力向上につながります。再発率は16.6%と報告されていますが、適切なリハビリを行うことでリスクを最小限に抑えることができます。
実績と信頼
当院では、年間およそ300例の成長期腰椎分離症患者の診療にあたり、国内でも有数の治療件数と成果を誇ります。その実績は、国内外の学会発表や国際論文への掲載にもつながっており、全国から多くの患者様にご来院いただいております。長引く腰痛や繰り返すスポーツ障害にお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。私たちは、痛みなくスポーツに復帰し、再発させない体づくりを全力でサポートいたします。
当院からの分離症関連の学術論文
腰椎分離症のリハビリテーション